アサヒの森

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林業について、中山間部の整備を担う企業、行政の情報交換会に参加しました。
講師はアサヒビールの環境保全事業担当者です。「アサヒの森」事業についてお話しいただきました。

アサヒビールの前身の大日本麦酒時代(1941年)大東亜戦争によってコルク輸入が危機を迎えました。代用品として考えられたのが樹皮が柔らかい「アベマキ」の樹であり、それが多く自生する広島県の山林を購入したのがきっかけでした。
結果としてアベマキの樹は使用しませんでしたが、現在は「適切に管理された森林」としてFSC森林認証を受け世界基準で管理されているということです。産出された木材は建築資材として流通しているほか、アサヒビール本社の内装にも使われているというお話しです。

また、私が注目したのは環境保全に関わる事業であるということです。適度に光が林床まで届き、下草や低木層が発達しているため、生物多様性に富む環境であること。山に水を貯える機能である水源涵養機能に富むことが挙げられます。アサヒビールの全国8工場の水使用量の約80%をアサヒの森が確保しているそうです。
アサヒビールとしても森林保全による地下水の能力強化に努める方針というお話しでした。

ただ、我が西条市では来年1月にアサヒビール四国工場が閉鎖されます。そこで私は疑問に思い、今後のアサヒの森事業拡大について聞いてみました。担当者は「本社の意向がこちらに来ていないのでお答えしかねます」とおっしゃいました。環境保全として素晴らしい取り組みだと思いますが、今後の展開が不透明です。

松木たかし