西条市への移住について市と県に聞きました
2月6日の林業の研修会に参加しました。長くなりますが、ご容赦下さい。
我が西条市は田舎に住みたいまちランキング1位を連続で獲得している自治体です。その背景について学んできました。
基本的にシティプロモーション推進課の課長が行ったPRが功を奏したようです。都会に住む人で移住を希望する方々は、漠然と「のんびりとした田舎に住んでみたい」という考えを持たれているそうですが、実際に踏み切ることが出来ないことがほとんどです。
「再就職先をどうするか」「地元の人とうまくやっていけるか」「子供の学校はどうするか」など現実的な不安を抱えています。西条市側は移住希望者のご家族と深く関わりながら不安を払拭してゆくという手法を取ると聞きました。例えば、職員がご主人と毎夜飲み歩き悩みを聞く、ご家族の鍋パーティに参加して話し込む等です。
一方、西条市内では市内の色々な方(地元農家、先輩移住者、商店、起業家、学校の先生、企業の人事担当、PTA)に挨拶回りをしていったそうです。
また、無料の移住体験ツアーを実施して、希望者を本人の理想の生活をする先輩移住者の元に連れてゆき、SNSなどで繋がりを持ってもらうことで移住前に西条市内に既に知り合いがいる状態を作るというのも効果があったのでしょう。
結果、H30度スタート以来、都会での移住セミナー参加者(若い世代限定)のうち、約3割が半年から1年で移住を決めるに至ったのです。
確かに手厚いですね。他の自治体がまねができるかと言えば、なかなか難しいのではないでしょうか。この様な手法は弱者の手法と呼ばれ、泥臭いものになりますが資本の乏しい者には効果のある方法なのでしょう。
ただ、課題は移住した後のことです。そこに定住してもらわなければ意味がありません。実際には、若者が住みたいまちランキング1位を直近では隣町の今治市に譲っています。
原因として考えられるのは、交通の利便性に乏しいこと、丹原、小松、東予高校の縮小と子供を通わせる学校の将来性の悪さ、産婦人科が少ないことが挙げられます。また、田舎特有の因習や排他的な考えを持つ住民とのトラブルについても懸念があります。「若い人に満足してもらわないと・・」と講師がおっしゃったので、学校の縮小問題について質問しましたが、「県の方針なので何とも」「少子化が前提なので仕方ない・・」など少し暗い返答で残念でした。
市の職員の方のお話しに引き続いて県の職員の講演を聴きました。
資料の通り、愛媛県への移住促進についての話です。県が推進する地域おこし協力隊の取り組みは興味深いものがあります。「地域おこし協力隊」は2009年度から総務省がスタートさせた制度で、1~3年以下という決まった期間、都市部の人材が「地域おこし協力隊員」として地方に移住し、地方自治体の委託を受け地域の問題解決や発展のための活動を行います。任期終了後もその地域に定住する人もおり、地域活性化への貢献が期待されています。
資料の通り、隊員の定住率はR2年全国平均65.3%に対し、愛媛県は69.5%と全国トップクラスの成績です。
R4年の移住者は20代、30代の世代が最も多く、人口構造の若返りにも貢献しているのではないでしょうか。
実際に、市内の振興の林業者で20代から30代の若者世代で構成された移住者中心の企業があります。
講師の話では、「愛媛人口減少対策重点戦略として若年者の積極的な雇用と賃金給与の向上が必要」との発言されました。これを受けて、私が企業への直接的な呼びかけを行うのかと質問しましたが単に願望しているような状況のようです。確かに賃金の設定は企業のの判断なので何とも言えませんが、じゃあ資料に乗せる意味あるのかと言わなければなりません。
少子化対策として、どうしても若い方にお金が無くて、結婚や出産に及び腰になっているのが現状であると認識しています。というのも、R年2月のデータでは国民の税負担率が48%と要するに五公五民です。更に、各種保険料や年金を合わせると更に手元に残るお金が少ない状況です。
江戸時代かよという勢いですが、一方で例えば、名古屋市では市民税を従来から5%減税した結果、逆に税収がアップした事例があります。
このことを踏まえて、次世代を担う若い方々への税の優遇面でのアプローチはあるかと問いました。
しかし、回答は、税ではなく若い方への給付という形を「検討している」というお返事でした。移住を促進しても暮らしやすくなければならないと思いますが。
やる気あんのか?やはり、そこは政治家の意志力なのかもしれません。
一般的に、消費税や社会保険料を上げなければ日本の「借金」を返せないみたいなことを言う頭のおかしな人がマスコミや経済学の中でのさばっています。しかし、若い方々にこれ以上の負担を背負わせるようなことがあれば、我が国の未来が暗いのはどんなに愚かな人間でも理解できるはずです。
半世紀以上にわたって、我が国は国債の発行で足りない予算を賄ってきた歴史があります。これにより、日本経済が破綻したことがない事実を国民も考えなければなりません。
松木たかし