「海ゴミ」について
西条自然学校の講演会に参加しました。テーマは「海ゴミ」についてです。
講師は海ゴミ回収に参加されている方で、普段は放置人工林の整備をされています。
海ゴミとは、主に街から出るゴミであり、主成分は漁業用ブイ、発泡スチロールの箱、ペットボトルなどの樹脂です。
本日は南予地方での海ゴミ回収について学びました。愛媛県はご存知の通り、北部の工業地帯の護岸された地形に比べて、南部はリアス式海岸が広がります。
その入り組んだ海岸にゴミが溜まりやすいのです。台風や季節風で吹き寄せられた軽いゴミが、複雑な海岸線に捉えられて打ちあがってゆくというのが原理です。
厄介なことに、そのような場所は船でないといけないところが多々あると聞きました。
また、護岸されているところでもテトラポットの隙間にはどうしてもゴミが引っかかります。
私の実家近くの岸壁にも、確かにテトラポットの隙間がそのようなゴミで汚れているのが思い出されました。
この問題は、アクセスが容易な海岸では人の目に触れることで、清掃が行き届く可能性が高い一方で、秘境の、特に入り組んだ場所においては吹き寄せられたゴミが延々と堆積してゆくのです。
もちろん、マイクロプラスチックの問題もあります。今は使われなくなりましたが、ポリ塩化ビフェニル(PCB)はマイクロプラスチックに吸着されやすい性質を持ちます。海洋に放出された樹脂は、大きいものは鯨や亀、イルカなどの海獣が食べ、風化して小さくなるにつれ、小型の魚介類が摂取するのです。
結局は樹脂の添加剤であるPCBなどがあらゆる面で生物濃縮されてゆくのです。
瀬戸内海は閉鎖性海域と呼ばれています。この広大な海域は東は明石海峡や鳴門海峡、西は関門海峡や豊後水道しか出口がありません。講師のお話しでは、護岸されてまっすぐな海岸の多い瀬戸内海は流れ着く場所が少なく、入り組んだ地形の多い南予の海岸に軽いゴミが堆積しやすいということです。
その性質を利用して、ゴミが流れ着きやすい海岸をマークして定期的にそこで清掃することで、ゴミの回収の効率化を図っているそうです。
私が拝見したスライドショーや動画の中では、巨大な発泡スチロールのブイ、漁協などで使用する発泡スチロールの箱が、白く海岸の奥の方まで堆積している様が見られました。
漁業活動が続く限り、この漂着ゴミの問題は無くならないのではないかと思い、質疑応答で質問してみました。
講師のお話しでは、「漁業で出るゴミは産廃になる。処理にはお金がかかる。そこで、わざと風に飛ばされるように積んでおく。風が吹いてゴミが流される。(あれ?風で自然に飛んでっちゃった。どうしよー。)と言う。とする考えがある。これを防ぐにはゴミの回収に当たって補助金を出した方が良いかも」ということでした。
漁業者の心理には少し納得ですね。不法投棄は犯罪ですが、お金を出して産廃を処理してもらうよりは、自然に任せて「飛ばされてしまった」という体裁にすれば安価に処理できるというものです。
この問題はしょうがないなあで済ましてはならないんだと思いました。環境にも悪いし、犯罪を助長します。
船でしか行けないような場所にゴミが堆積するような環境があり、その場所で清掃活動することは良いと思います。ただ、一方でゴミが出る根本原因にも目を向ける必要があるのかもしれません。
私の実家付近にも砂浜があります。調査を兼ねて清掃活動をしてみます。
松木たかし