林業用アプリケーションソフトの研修会に参加しました
林業の研修会に参加しました。テーマは、林業用アプリケーションソフト「mapry」の紹介、林業用品種の状況についてです。
レーザー照射による計測ソフトとハードを作っている会社「株式会社マプリィ」による説明を受けました。
現在、様々な林業関連物資がありますが、実際に山に入る上で重要な物が情報であります。
その現場がどの様な植生で、地形はどうで、樹の生育状況はどうかなど把握する必要があります。
この企業は、レーザー照射によって物体との距離を測り、物体の位置、大きさ、地形をデータ化する技術を提供しています。
理念として、「誰でも簡単に高精度な3次元データの取得・解析・業務利用が可能なアプリプラットフォーム」を提供するということです。
スマホやタブレットで手軽にデータを取得できるために、コスト削減、業務効率化、収益向上に繋がるのです。
具体的には、スマホを樹にかざしてタップするだけで、その樹の胸辺りまでの直径や、樹の高さ、位置が拡張現実(AR)空間に映し出されます。更に、「10メートル四方」などのデータ取得範囲を設定すると、その範囲にある樹木の本数や位置、大きさがAR空間に映し出されるのです。
実際に森林の中を歩いてみると、木々に囲まれている空間は方位や目標の樹の認識が低下します。この技術はAR空間に目標を設置することができるので、迷子になりにくそうです。
また、伐りだした木材を市場に運搬した後市場において、積み上げられた丸太をデータにすることもできます。本数、材積計算(木材の体積の計算)もできるので、生産管理と流通先へのデータ提出も簡略化が進みます。こちらは無料版になるようです。
既に、47都道府県のうち、25県に提供されている技術であり、公的な資料に使われているそうです。
県の西条市第二庁舎でも採用されているので、今後は竹林ボランティアの補助金事業にも登場する可能性があります。県の関係者が「測量が簡単になって山に入る機会が少なくなりそうだ」と話していたのが印象的です。
次に、林業において、重視されるものとして育苗があります。生産性の高い山を作るには、植林事業も大切です。林業用品種の状況をご説明いただきました。
愛媛県林業研究センターで開発が進んでいる主な品種として、スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、クヌギ、コウヨウザンがあります。
まず、育苗に当たって必要なのが、材積が大きく、病害虫に強く生育が早く、環境に適応しやすく、通直性(まっすぐな感じみたいなやつ)が優れた「エリートツリー」と呼ばれる個体であります。
エリートツリーの育成は第一に精鋭樹の選抜から始まります。雪害や病気などの被災地域から、それらに耐久性のある個体を選抜し、交配させます。交配第一世代以降の樹の内、成長や材質に優れ、雄花の着生量を基準に更なる選抜をした第二世代以降をエリートツリーとします。
更に農林水産大臣が定める「特定母樹」というカテゴリーがあります。こちらは、エリートツリーの中で花粉量の少ないという特徴を備えたものになります。
日本人の約4から6割の方が、花粉に対する何らかの症状があるとされています。
5年ほど前から花粉症対策が叫ばれ始め、閣議決定までされているが、十分な予算がついていないのが現状のようです。
県内の採種園は東温市や内子など5か所あります。水田や畑を使用して育てていますが、昨今は農業用コンテナでの育苗にも注力しているようです。
というのも、いくらエリートツリーといって隔離していても、他所から飛来する花粉が混ざっては先祖返りする危険もあります。閉鎖型の施設にも移行してゆくというお話しです。
花粉量の少ない特定母樹の育苗を推進している割に十分な予算がついていないというお話しが気になりますね。昨年は特に花粉の被害が大きい年でした。公益性の観点から掘り下げて調べてゆきます。
松木たかし